日本発のグローバルリーダーを育てよ!

日本に全寮制インターナショナルスクールを作ろう!そんな突拍子もない事を考えた1人の女性がいる。小林りん、その人だ。
インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢、ISAKというのがその学校の名前。ミッションは、「アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、新たなフロンティアを創り出し変革を起こせるリーダーを育てる」という壮大なもの。


一体、何故小林はこの学校を作ろうと思ったのか。それには彼女の高校時代の原体験に遡らねばならない。
それは小林が国立の名門高校の1年生の頃。教育方針に疑問を感じた彼女は高校を中退してしまう。既に型破りな性格の片りんをうかがわせるエピソードだが、その後小林はカナダの全寮制インターナショナルスクールに留学する。そこで世界中から集まってきている学生達と共に学び、多様な価値観を身につけて帰国する。卒業後は、東京大学開発経済学を、アメリカのスタンフォード大学で国際教育政策学修士号を取得、学院で教育学を学んだ後、06年から08年、国連児童基金ユニセフ)でフィリピンの貧困層教育にかかわった。


そこで貧富の差を目の当たりにし、世界の様々な問題を解決出来る、真のグローバルリーダーの育成の必要性を痛感したという。帰国後、彼女は日本に全寮制インターナショナルスクールの設立に動き出す。それはとてつもなく無謀で不可能な事に思われた。資金も無い、何のつても無い。たった一人で一体何が出来るのか?しかし小林には実行力と人を引き付ける強烈な個性があった。多くの人が支援を申し出た。リーマンショックもあり、資金集めは難航した。そして2011年、あの東日本大震災・・・。もう諦めようか・・・。そんな想いが小林の胸によぎった。
しかし。これまで日本が培ってきた安全神話がもろくも崩れ去り、日本に世界に情報を発信できるリーダーがいないことに気づいた人達から、多くの寄付がISAKに届き始めたのだ。何と震災後の方が寄付が多く集まっているという。小林は何と1人で20億円近いファンドレイジングを成し遂げたのだ。


これまでサマースクールのみを開催してきたが、2014年、いよいよ、高校生を対象にISAKは開校する。
様々なバックグラウンドを持った学生達が軽井沢の地に集まり、世界中の全寮制インターナショナルスクールなどから小林自らがリクルートしてきた多才な教師陣が指導する。小林の壮大な夢の第1歩が今まさに実現しようとしている。
教育とは気の遠くなるような時間がかかる仕事である。ISAKから飛び立った若者たちが、世界にイノベーションを引き起こし、社会の課題を解決するようになるのはいつの事か。その日が来る事を待ちわびて、小林は今日も走り続ける。そして、その理念と情熱に呼び寄せられるように多くの人々が共に走り、同じゴールを目指す。


グローバルリーダーに必要なものにカリスマ性を上げる人が多いが、小林は「突破力」だと言う。多様性を受け入れ、多くの人の共感を呼び起こし、そして、何があっても、やり遂げる力。そうした能力を兼ね備えているのが真のグローバルリーダーだ、と。
それを聞いてふと思った。それを持っているのは、自分自身なんだと彼女は気づいているのだろうか?

(了)

小林りん

投資銀行業務、ベンチャー企業経営などを経て、かねてからの目標であった国際協力の分野へ転身。国際協力銀行円借款の実務を担当した後、国連児童基金ではフィリピン事務所のプログラムオフィサーとしてストリートチルドレンの非公式教育に携わる。経団連からの全額奨学金を受けカナダの全寮制インターナショナルスクールに留学した経験を持つ。1993年国際バカロレアディプロマ資格取得、1998年東大経済学部卒、2005年スタンフォード教育学部修士課程修了。

インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢は、各分野で次世代をリードしてゆける子ども達の育成を目指す、少人数制の全寮制インターナショナルスクールです。(対象:高校1〜3年生の男女)


ISAK HP: http://isak.jp/